山科新聞 京友禅150年 親子脈々

 赤穂浪士の大石内蔵助(くらのすけ)をまつる大石神社近くにある友禅染の老舗「小糸染芸(こいとせんげい)」は明治元年の創業だ。もともと堀川御池にあったが、50年ほど前に移ってきた。4代目で現会長の小糸敏夫さん(86)が結婚を機に、ここに社屋を構えた。時は山科区が東山から分区する前。「東山区山科」と呼ばれ、田畑が広がっていた。 代々、型紙を用いて染める「型友禅」の技法を受け継いでいる。敏夫さんは卓越した技能をもつ職人を厚生労働相が表彰する「現代の名工」に選ばれている。3代目だった父親の啓介さん(故人)に続き、親子2代での受賞となった。 敏夫さんには、もう一つの顔がある。30歳ぐらいから狂言の人間国宝、四世茂山千作(しげやませんさく)さん(2013年に93歳で死去)に師事してきた。このころ狂言は京の旦那衆が支えていた。 千作さんの地方公演に付き添い、共演もした。観客が楽屋にきて感動したと伝える姿を見た。「先生は人の気持ちを動かせるすごい方だった。染め屋の仕事とも通じるところがある。品を見せ、『ええなあ』と感動させる精神が大事」 昭和50年代まで娘の結婚時に親が着物をもたせる風習が続き、商売は安定していた。その後、次第に着物業界は右肩下がりになった。 着物販売はいくつもの問屋を通るのが一般的だが、同社は平成に入り、顧客に手がけた反物のアピールを直接するようになった。客が何を求めているか、自分たちは何をつくるべきなのかを探るためだ。「つくり手自身が伝統産業のすばらしさを伝えるから説得力がある」 敏夫さんは「制作から流通、販売まで関わり、在庫をもつのはリスクがあった」と振り返る。 本業を救ったのは狂言だった。各地の問屋や小売りが用意した舞台で狂言を演じた後、展示会を催す。5年ほど続けるうち、新たな顧客を開拓できた。 敏夫さんは10年ほど前、長男の太郎さん(53)に後を譲り、会長に就いた。社長になった太郎さんは「覚悟がいる。会長の時代とは全く違う」と話す。 太郎さんは1カ月のうち半分は出張。各地で顧客と向き合い、着物についての考えを聞く。「どんな風になりたいですか。食事のお出かけ着にいかがでしょうか」。まるでスタイリストのような質問だ。特別な茶会で着飾るときに袖を通すのではなく、ふだんのおしゃれ着にしてほしいと願っている。 小糸染芸は昨年4月、創業150周年の記念展を開いた。敏夫さんは狂言を披露。並んだ品々を見た人からは「着物のイメージが変わった。着たくなった」と言われた。 敏夫さんは「時代は移り変わる。息子に任せている」。太郎さんは「伝統や文化を守りながら、変えていく勇気が大切だ」と語る。 今月13日に開催された京友禅競技大会で、同じ図柄を繰り返す「小紋」の反物が知事賞を獲得した。デザインや配色を手がけた太郎さんは、シャンパングラスを持って夜景を眺める時に似合うイメージでつくったという。(徳永猛城)

「還元詐欺」ご用心 県内も不審電話

 5月の改元に便乗した手口の詐欺が各地で横行している。県内でも先月、同様の手口とみられる不審な電話があり、県警は注意を呼びかけている。 生活安全企画課によると、神奈川県で1月中旬ごろ、全国銀行協会と偽った文書が複数の住宅に送られた。「元号の改元に伴いキャッシュカードを切り替える必要がある」として…

山口)「海の厄介者」を宝に変える 平生町・小田水産

 漁業者の間で、「海の厄介者」として敬遠されてきた魚を積極的に買い取り、干物に加工して販売する。「小田水産」(山口県平生町)はそんな逆転の発想で、低迷していた業績を回復させた。畑違いの職業から飛び込んだ異色の3代目が、地元佐賀地区の街のにぎわいを取り戻そうと奮闘している。 5人の職人が机に並べられた体長30センチほどのハモの内蔵を手際よく取り除き、背びれをはいでいく。地元の平生町にある佐賀漁港を中心にこの日水揚げされた約50キロ。この量を一日でさばく。その後、約1時間塩漬けして半日乾燥させれれば、干物の完成だ。 「このハモの干物はまだ試作品。ハモの卵を使っためんたいこ『ハモ明太』にも挑戦中です」 共同経営者の小田佳希さん(3…

熊本)「アリがゾウを倒す」熊本西、甲子園へ向け出発

 第91回選抜高校野球大会に出場する熊本西高校野球部の出発式が18日、熊本市西区城山大塘5丁目の同校であった。選手らは保護者や学校関係者約30人に見送られ、甲子園へ出発した。 横手文彦監督は初戦で対戦する強豪・智弁和歌山を念頭に「相手はゾウのような存在だが、アリがゾウを倒す姿を期待してください」とあいさつ。霜上幸太郎主将(3年)は「全員野球をモットーに必死に食らいついていきたい」と意気込んだ。選手らはタクシーに乗り、保護者らに手を振りながら熊本駅へ向かった。19日に甲子園練習があり、大会第6日(28日)の第1試合で昨春準優勝の智弁和歌山と対戦する。(清水優志)

愛媛)松山聖陵「憧れの場所で歩けた」 開会式リハ

 23日に開幕する第91回選抜高校野球大会に出場する松山聖陵が22日、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開会式のリハーサルに臨んだ。プラカードを持った野球部員の松岡大樹君(3年)を先頭に行進し、本番の流れを確認した。 リハーサルを終えた松岡君は「ペースを一定に保つのが難しかった。それでも憧れの場所で歩けたのは楽しかったです」と笑顔。打線の中軸を担う折田玲君(3年)は「行進がしっかりできていなかったので、このあと練習をしないと」と反省。今月にあった沖縄遠征では練習試合で本塁打を1本打っており、「体調はいい。長打が出るようになり、ヒットの率も上がっている」と意気込んだ。(寺田実穂子)

神奈川)鮮やかシバザクラ 相模原の河川敷

 ピンク、白、紫のじゅうたんを敷き詰めたように咲くシバザクラが、相模原市南区新戸から磯部にかけての相模川河川敷で見ごろを迎えている。通称「芝ざくらライン」と呼ばれ、長さは約1・4キロに及ぶ。荒れ放題だった河川敷を2002年から地元の住民が少しずつ植栽してきた。 JR相模線・相武台下駅から徒歩約15分。臨時の駐車場を利用する場合、1台につき500円が必要。(石平道典)

新潟)新潟市、NGT48のPR起用見送り

 新潟市は29日、新潟を拠点に活動するアイドルグループ「NGT48」について、4月以降は市のPR活動への起用を中止する方針を明らかにした。メンバーの山口真帆さん(23)がファンの男らに暴行されたとする事件を巡る騒動に収束の見通しが立っていないことから、市の担当者は「これまで通りの起用は難しい」と説明している。 市によると、NGT48は新潟開港150周年のスペシャルクルーとして活動しており、移住促進のPR動画などにも登場している。4月以降はPR活動を見合わせ、ホームページで公開している動画は今月内に削除するという。メンバーの一部が務める南区のPR大使についても、4月以降の契約更新を保留する方針。

大阪)大阪のプロ吹奏楽団と岩手の高校生が交流 4月に

 大阪のプロの吹奏楽団、オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ(略称シオン)の有志が4月13、14日に岩手県大船渡市を訪れ、地元の高校生に楽器指導をし、演奏会でも共演するなど交流を深める。大阪・中之島の企業でつくる「中之島ウエスト・エリアプロモーション連絡会」が、音楽を通じた被災地支援として企画した。 有志は、楽団長の石井徹哉さん(40)=バストロンボーン、古賀喜比古(よしひこ)さん(40)=クラリネット、高鍋歩さん(46)=打楽器。13日に大船渡東高、大船渡高を相次いで訪問し、合わせて約50人の吹奏楽部員に指導する。 翌14日は楽器指導のほか、両校が午後1時半から大船渡市民文化会館で開く「復興 東高・大高吹奏楽部ジョイントコンサート」に賛助出演する。両校の単独ステージのほか、3人が加わった合同演奏があり、復興支援ソング「花は咲く」やマーチ「希望の光」、「陽はまた昇る」などを披露する。 「震災のことは忘れないけれど…

注目区を歩く さいたま市議選・見沼区

 さいたま市議選の見沼区は定数8に11人が立候補した。自民が4人公認、立憲と公明、共産も2人ずつを擁立。複数議席の確保に向け、党勢や組織力が問われる選挙戦を繰り広げる。 4日早朝のJR東大宮駅東口。急ぐ通勤客に、30代の自民公認の2人が背中合わせに繰り返し頭を下げる姿があった。新顔閑野竜明(30)、現職高子景(31)だ。最後は「お互い頑張ろう」と握手を交わした。 2007年は同選挙区で6人を公認、半数が落選した自民は久々に現職3人からの上積みをねらって仕掛けた。4人目に選ばれた閑野は、前回、無所属で出馬して落選した元自民市議の支援を受ける。 若さが売りの一つだった高子は1歳下の新顔の出現に、「こちらは地元出身で政策通」と違いを強調。支持が分散するのを阻止しようと必死だ。上位当選を重ねてきた自民現職の鶴崎敏康(69)、中山欽哉(60)も5選へ従来の支持者を固めるのに余念がない。 立憲現職の三神尊志(38)、武田和浩(58)の2人にとっては旧民主が分かれてから臨む初の選挙。選挙ポスターには地元選出で立憲代表の枝野幸男の写真を映し込み、党を前面に押し出す。「立憲に移った結果、離れた支持者もいる」といい、保守的な旧民主支持層の行方に神経をとがらせる。 公明は現職の斉藤健一(56)、小森谷優(60)が従来通り、地域などをすみ分ける選挙戦を展開するが、自民の動きも注視している。「自公連立と安倍政権の長期化に政権批判の色合いも強まっている」(陣営幹部)とみて、支持離れが起こらないかを懸念している。 共産は同区で8年ぶりの2議席奪還に意気込む。夏の参院選も意識して票の掘り起こしに総力戦の構え。前回も出た鳥羽恵(59)、元職の青柳伸二(71)の2人で、消費増税反対など国政課題を絡め、市議会でも野党の立場を訴え、批判票の受け皿を一手に引き受ける戦略だ。 無所属新顔の河野正弘(41)も前回に引き続いての挑戦となる。 「ぜひ当選してもらいたい候補のところに応援しに来ました」 告示の3月29日、さいたま市長清水勇人は公務の合間を縫って自民や公明の現職の演説場所に出向き、マイクを握った。4年前の市議選も、議会で野党の立場で過半数を握っていた自公との関係改善を模索して議員の応援に回ったが、今回は全方位外交ぶりがいっそう鮮明となっている。 2年前に自民会派が分裂。23人中8人(のちに9人)が「自民真政」を結成し、実質的に市長支援に回ると、当時の民進系や公明と合わせて「与党」側が過半数を確保した。 自民には今なお、清水と距離をおく議員がいる。市政運営には選挙後の「与党」過半数確保が最重要課題だ。清水は、共産や無所属以外の現職全員に「必勝祈願」の為書を届けるなどして、多くの議員を与党側に取り込もうともくろむ。(森治文)=敬称略、おわり

三重)無水調理できる萬古焼の土鍋開発 米国でも販売

 航空宇宙産業の技術を取り入れた萬古(ばんこ)焼の新しい土鍋が誕生した。開発したのは、ロケット部品の加工などを手がける三重県四日市市の会社。高精度な切削技術で鍋とフタの間の隙間を極限までなくして気密性を高め、無水調理を可能にした。食材のうまみを逃がさず調理ができ、健康志向の高まりで日本食が注目されている米国でも販売が始まった。 製品名は「best pot(ベストポット)」。宇宙航空研究開発機構(JAXA)のH3ロケットの部品などの加工を手がける中村製作所(四日市市広永町)の自社ブランド「モラトゥーラ」が開発した。 特徴の一つは、フタを鉄鋳物で重くしたこと。鍋本体とフタを100分の1ミリの精度で削り、隙間を極限までなくした。素材のうまみを含んだ蒸気が循環し、中の熱が逃げにくくした。 鍋の底は二重構造にし、羽釜の…