凸凹の輝く教育/合理的配慮を考える(2)

 ◆センター試験 PCの壁 大学入試センターは毎年7月ごろ、障害のある受験生がセンター試験でどのような特別措置を求めることができるのかを記した「受験上の配慮案内」を公表する。 チェック解答、代筆解答、別室の設定、拡大鏡等の持参使用、拡大文字問題冊子の配布……などと並ぶ項目の中に、今年は「パソコンの利用など」という一言が加わった。備考欄には「なお、パソコンの利用や上表に記載がない受験上の配慮事項を希望する場合は、事前に大学入試センターに相談してください」と下線付きで書き添えられていた。 私立通信制高校(通学コース)3年生、武井一星(いっせい)さん(17)の母の夏野さん(47)は、「入試でパソコンが使えたら、読み上げ機能が使えるかもしれない」と期待した。一星さんは読み書き障害があり、文字を手で書くと形が整わず、時間がかかる。文字を正確に読むことも難しく、意味の理解につながらない。中2の時から、学校の定期試験は問題・解答用紙をPDF化してパソコンで解答を入力したり、音声読み上げソフトを使ったりしてきた。 障害のある子の保護者の間でも「パソコン利用ができるの。すごい進歩!」と話題になった。センター試験では2011年度から特別措置に「発達障害」の区分が明記されたが、パソコン利用は、昨年に2件認められただけだ。 ただ、夏野さんがセンターに「パソコンを使って英語の読み上げ機能を使えるか」と問い合わせると、「前例がないので難しいと思います」と言われた。結局、9月に出した配慮の出願前申請では代読、時間延長などだけを求め、「パソコン利用」は記さなかった。 障害者差別解消法の施行により、公的機関には「合理的配慮」が義務づけられた。入試センターが認めた「配慮」は、個別の大学の入試の参考にもなる。しかし、求め通りの「配慮決定」をもらうのは容易ではない。障害者が受験する場合は、細かい条件を確認しながら手続きを進めることが多い。 2020年度からはセンター試験の後継として大学入学共通テストが始まる。英語では「読む・聞く・話す・書く」という4技能を測るため、民間試験が活用される予定だが、こうした試験ではパソコンを使ったテストが当たり前だ。小中高校でも、情報教育が重視される流れが進む。「高校の授業や試験でパソコン利用を求めても、『大学入試で使えないから』と断られる人もいる。まずはセンター試験から変えて欲しい」と夏野さんは求める。 記述式問題が導入される共通テストをめぐる心配もある。昨年行われた試行調査では、複数のグラフや図表を見比べて読み解く問題が多く、小さな点の分布図もあった。「記述などの比重が大きくなると、申請以前に大学受験をあきらめなくてはならない子も出てくる。合理的配慮を早急に進めて欲しい」  (宮坂麻子)