筋肉の病のアマ 視線入力 プロと囲碁熱戦

 筋肉の病気で体が不自由ながら囲碁でアマチュア五段の腕前がある田中宏治(こうじ)さん(34)が22日、入所している江津市の西部島根医療福祉センターで、プロ棋士と対局した。目の動きをマウスの代わりにしてパソコンを操作する「視線入力」システムを使った。序盤の優勢を終盤に逆転されて僅差(きんさ)で敗れたものの、「やり切りました」と喜んでいた。 相手は関西棋院の瀬戸大樹八段(34)。江津市出身の棋士の紹介で、2002年に田中さんが修学旅行で訪れた大阪市の関西棋院で対局して以来、年に1度対局しているという。 田中さんは気管切開で声が出せないが、この日はセンターが2年前に導入した視線入力システムを使用。パソコン画面の碁盤に視線を向けると、石を打ちたいところが表示され、これを県囲碁連盟のアマチュア棋士が代わりに実際の碁盤に石を並べた。 田中さんは三子局のハンディをもらい、約50分の対局は大接戦となったが、最後は瀬戸八段が二目勝ちした。これまでの戦績は五分といい、「年々強くなっている。いまはアマチュア六段の実力がある」と瀬戸さんは実力を認めた。 田中さんは7歳のとき、県立江津清和養護学校に入学し、同時に隣接するセンターに入所した。囲碁を始めたのは中学部3年の時。教諭に鍛えられ、実力をつけてきた。 田中さんの対局をサポートした作業療法士の引地晶久さん(33)は「囲碁のときは生き生きしていて、いい表情」と話した。田中さんは引地さんらを通じて「もう少し練習してまた対局したい」とコメントし、早くもリベンジを誓っていた。(礒部修作)