石川)里山暮らし ツクバネと羽根つき

 今は廃線となった「のと鉄道」(輪島―穴水)の旧能登三井駅前に谷口商店という小さなお店があった。店は昨年閉じたが、食パンからお菓子、肉や魚、洗剤まで一通りそろうコンビニみたいな存在。車で20~30分かかる「輪島や穴水まで行くのはちょっと」という時はここで用が足りた。秋には、店主が山採りしたコケ(キノコ)が並んだ。ショーケースには、ぬか鯖(さば)やひね寿司(ずし)もあって地元に愛される店だった。 ある日、おつりを受け取りながら天井にふと目がいった。「そよそよ」としたうす緑の羽根のついた見慣れない枝がつり下げられている。「これ? 山に生えているツクバネという木や。昔は『祭りのお供え物に』と集めたが、最近じゃあんまり見掛けない」と店主が教えてくれた。 ツクバネのことを知りたくなり、三井町中(なか)地区に住む「ママ友」のユミさんに聞いてみた。すると、地元の日吉神社の春祭りの思い出を語ってくれた。「私がお嫁に来た頃は、祭りの後にオトンが持って帰ってくるお下がりにこの実が入っとったわ。他にも海山のものがあって『不思議だな』って思った」 石川県立歴史博物館(金沢市)…